中国家庭料理「楊」

2005/06/15更新

日本に炸醤麺を扱う店が増える気配が無いと思ったのは、私の調査不足のせいだった。
インターネットで検索していると、乾麺のうどんを使った炸醤麺を出す店が 十条にあるという。期待して出かけた。

この駅で下車するのは初めてだ。探している「楊」の電話番号は控えてあるが、 駅前の商店街にあることは確かなので、しばらく探してみる。
しかし、十条には商店街がいくつもあったのだ。意を決して携帯のボタンを押す。 私は北京語がわからない。日本語で大丈夫かな?
「今タクシー乗り場ですね?線路沿いに右に行って、最初の踏切を渡れば直ぐですよ」
完璧な日本語だ。早く聞けばよかった・・・

昼の営業時間である2時を過ぎていたが、楊さんは温かく迎えてくれた。 店内は豚の耳を煮る鍋からの、八角の香りが漂っている。 6席あるカウンターと4人がけのテーブルが1つというこじんまりした店だ。 メニューを見ると炸醤麺は昼のメニューであった。 「小龍包」「麻婆豆腐」「焼き肉まん」は次回のお楽しみに取っておき、 炸醤麺(スープ、ご飯、ザーサイ付き、750円)と、水餃子2人前(1人前6個、350円) を注文する。

まず水餃子が出来た。先ほどのばしたばかりのプリプリの皮。 醤油と酢と自家製唐辛子をベースにしたスパイスを混ぜて餃子につけて食べる。

炸醤麺は日本製の乾麺を使っている。小さい店なので、日保ちのしない生麺を 使えないのだそうだ。
「常連さんに頼まれて手打ちでやったこともあります。これはまた格別に旨いんですよ」
それは是非今度お願いしたい。
「よくかきまぜて。かきまぜたほうがおいしいですよ」
茹で汁が多く醤もあっさりしている。生の胡瓜、茹でたキャベツが載っている。 勧められた自家製唐辛子スパイスをかけて、箸でかき混ぜる。家の味に近いわけではないのだが、これはこれで私好みの味である。

「トマトとたまごのスープ」。 メニューには、私のお気に入り「トマトとたまご炒め」もある。
そういえば中国ではトマトも良く使うなあ。

楊さんの夫は日本人。料理がうまいから店をやってみないかと勧められ、5年前に始めたのだそうだ。 しかいはじめてみると、客の中には口に合わない人もいて悩んだそうだが、 この味が好きで来てくれるお客さんのために、今後も味を変えないことにしているそうだ。

小さな麺棒で餃子の皮をのばす。

手間は掛かるが、高級な食材を使っているわけでもないのだから、 そんなに高い価格にはできないだろう。水餃子はレストランより家庭料理向きのものなのかも。

しかし、この店は5年も前からあったのに、私が知ったのは去年のことだ。 きっとまだ、私の知らない所にも炸醤麺を出す店があるに違いない。さらに 調査を続けます。

楊 十条店
住所:東京都北区中十条2-22-4
電話:080-1151-6456

楊 池袋店
住所:東京都豊島区西池袋3-25-5
電話:03-5391-6803


上の報告は2002年の初訪問の時のものです。近況報告が寄せられたのでお知らせします。

十条店の昼の営業は「土日の予約のみ」になります。内装は4人がけテーブルが2つ、外に4人がけテーブルが1つになっています。水餃子が400円に値上しました。炸醤麺はセットではなく単品になりました。

とのことです。行かれるかたは事前に電話で確認してからが確実ですね。

geminizz@hamakko.or.jp

荒川文治(あらかわ ふみはる)
神奈川県横浜市

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