翁さんの東京炸醤麺情報

2002/07/07更新

翁さんが訪ねた店の紹介その2です。



新宿・東順永 (2002/02/02投稿 2002/04/29修正)

タムタムさんの中華料理情報サイトで予習した後、仕事先からの帰り道、下見兼打ち合わせに行きました。Yahoo! グルメには「山東料理」と出ていましたが、お店の壁には「北方」「東北」「満州」といった文字が書かれていました。

「炸醤麺があると思うんですけど、麺の色は白いですか?」と尋ねたところ、当初はこちらの意図が理解されなかったようすでしたが(そりゃ想定外だったかも)、「我希望白色的麺條、北方式麺條」的なインチキ臭い中国語を理解して下さり、「できます」ということに。それで〆に炸醤麺をお願いし、お店の方から「水餃は入れましょう」と言って下さり、後はお任せで1人当たり3000円(飲み物別)でやってもらうことに。

さて当日はというと、3000円では申し訳ないほどの種類のおかずがでてきて友人も感激していました。メンチカツのような揚げ物から、名物らしい「抜絲山薬」(山芋の大学芋風、水飴を絡めて食す)までうまかったです。

炸醤麺はというと、麺は空中で手で延ばして作ったものと思われます(お店の人の身振りで判断)。「がんばれ翠林」でご紹介のあった「拉麺」というやつでしょうか。硬くはないが、なかなか粘りけがある感じです。色は生成り。そうそう、山東・韓国系のお店で出てきたやつに似ています。

炸醤は、片栗っ気のけっこうある茶色いもので、挽肉は細かいものです。千切りのきゅうりがたくさん入っています。「がんばれ翠林」の炸醤麺と見た目はそっくりです。私がこれまで食べたものの中では、西麻布・北海園での特注品が一番似ています。

日本人向けに日本で一般的に流布している甘ったるい炸醤にしてくれたのではないか、と思い、お店の人に「もっと片栗っ気が無くて、辛くても大丈夫なんだけど」と告げたところ、「炸醤麺(は)不[束辛](辛くないんですよ)」などなど説明してくれました。「あなたはこういう味の炸醤麺を中国でも食べていたのか」と再確認しましたが「そうだ」とのこと。東北(の少なくとも一部)ではそうなのかもしれませんね(もちろん結論を下すには、もっといろいろな東北人の意見を聞く必要がありましょう)。

お店の人たちも親切で、お任せコース料理もたいへん良かったです。私としては「特注」につき良い経験ができて良かったと思っています。事前打ち合わせで、「日本人好みの料理は出す必要なし。麺は白でお願いね」などと念を押して行かれれば、きっと美味しいものが食べられると思いますよ

新宿区新宿5-10-10
「新宿5東」交差点・クイーンズシェフの正面玄関から靖国通りを東へ、2番目の路地(商店街の街灯あり)で左折し、約100メートル進んだ右側。
電話03-3353-3532 FAX 03-3353-4695
営業時間 11:00〜15:00 17:00〜22:00 年中無休


中国遼菜府新宿店 (2002/02/05投稿 2002/04/29修正)

ちゅうごくりょうさいふ

こちらのページに「新宿店(十二社通りの裏)」と書いてあったのだけを頼りに行ってみました。

店内の壁に大きく「炸醤麺」「三鮮炸醤麺」と手書きで書かれています。漢字と同じぐらいの大きさ(1文字150×150mm)でハングルも。もしや実は韓国式中華の店なのでしょうか? 

おそるおそる小姐に尋ねてみました。「あのジャージャンメンというのは韓国式なんですか?」 すると「はぁ」という表情で「うちは中国の料理ですよ」との答え。「それじゃあジャージャーメンを1つ」と注文しました。

厨房ではばったんばったんと音がし出しました。粉を打っています。やがて厨師の両手が高らかにあがると、その間で麺が舞い始めました。もう一人の厨師はフライパンで炸醤を炒めているようです。待つこと15分、やっと運ばれてきました。

麺は生成りの白で、新宿5丁目・東順永のものと似ています。上に乗った炸醤には1cm角のタマネギがたっぷり。肉は5mm角ぐらいか。これだけとれば麻布十番・中国塔(残念ながら閉店)や新宿・北京などで味わった山東・韓国式と言えるでしょう。しかし色はかなり違います。山東・韓国式が「黒」に近い焦げ茶だとすれば、こちらは焦げ茶でもかなり薄い方です。山東・韓国式がどろどろしているのに対して、こちらはそうでもありません。山東・韓国式ほどは口の回りが汚れないのです。

「中国式だと言ったけど、じゃあなぜ韓国語も書いてあるんですか? このあたりは韓国人が多いんですか?」と質問したところ小姐曰く「前は韓国のおねえちゃん(確かにそう言った)が多かったんですが、けっこう帰っちゃったみたいで、今はあまり来ません」(筋交い向かいに韓国式料亭がありました)。

炸醤麺は韓国人カスタマーの舌に合わせているんじゃないかという疑いも捨て切れませんが、小姐が言うとおり中国式だとすれば、中国式と韓国式を結ぶミッシングリングなのかもしれません。今度また訪れ、厨師に確認したいと思っています。炸醤麺以外のメニューでは春餅、水餃などの北方料理がありました(未食)。

それからお隣の店もなんと東北料理店で「大連アカシア」という名前でした。水餃子などが名物のようです。

新宿区西新宿4-30-9 電話03-3375-1867
十二社通りの一本裏道だが、けっこうわかりにくいので地図で確認した方がよいです。

他に高津本店(川崎市高津区二子4-8-5, 044-811-5977)、烏山店(世田谷区北烏山3-5-1, 03-3305-1878,夕方17時から早朝まで営業)もあり(新宿店でもらった名刺による)。


(再訪記)炸醤の色が薄い焦げ茶であることを除けば、良く炒めたタマネギと豚肉に生成り色の拉麺と、「山東・韓国式」の特色を余すことなく伝え、かつ壁のメニューに「チャジャンミョン」とハングルを併記までしていた「中国遼菜府」新宿店を再訪してきました。

炸醤麺を注文すると、麺をねじってはのばし、ねじってはのばし、どんどん細くしていきます。ゆで時間はほんの少しでした。お湯から揚げると、麺を水洗いしていました。冷たくはなかったので、ぬめりをとる程度だったようです。

その間、前回同様もう一人の師傅によって炸醤が作られます。タマネギの角切り(5ミリ角)に始まり、肉、味噌などが油の中で「炸」されます。

完成した炸醤麺は色を除けばやはり韓国式そっくりです。で、お店の人に「これはどこのスタイルか?」尋ねてみました。すると「ウチは遼寧省」とのお答え。親切に地図で遼寧省の位置も教えてくれます。「山東省の炸醤麺と違いがありますか?」と聞くと「だいたい似ている。水餃子の方が(地域によって)違いが大きい」。味噌については「黄醤に豆板醤入れる」と教えてくれました。

ちなみに水餃子は皮が厚く、醤油にはにんにくのみじん切りが入っています。これって今はなき麻布十番チャイナタワーと同じやりかたです。

ところで中国遼菜府にも「炒碼麺」があり、「チャンポン」とふりがながついていました。しかも「白」のほか「赤」(唐辛子っぽい色=韓国チャンポンとか歌舞伎町・北京のちゃんぽんそっくり)、さらに「黒」(黒ごまで味付け)までありました。未食であり、かつお店の人に確認したわけではありませんが、可能性としては「コリアン中華」のチャンポンは相当程度類似のものが、遼寧・山東あたりに存在していることも考えられるのではないでしょうか(2002/05/30投稿、2002/06/14修正)。


咸亨酒店西安餃子小桃の里(2002/2/21投稿 2002/3/2修正) 

正宗日式中華めん(ラーメンめん)に非ざる麺を出した店につき一応ご報告。

神保町の咸亨酒店にはジャージャーメンのほかに「挽肉辛子冷やしそば」こと少子冷麺(リンク先の86番)あり。写真によれば両方とも麺は黄色っぽいが、小姐によると「炸醤麺は北京の、辛くない」「少子冷麺は上海の、辛い」とのこと。どうせマル黄なのだからと初耳の「少子冷麺」に挑戦。出てきたのは、マル黄炸醤麺が醤油っぽいつゆ少々に浸かっているという感じ。

千代田区神保町2−2 電話03-3288-0333

西安餃子小桃の里日比谷店のジャージャー麺。麺は細い、やや黄色っぽいが、かといって中華めんではなさそう。しらがねぎがたっぷり。そのせいかけっこうからくてうまい。チェーン店で入りやすいこともあるので、他の方の感想をぜひお願いします(ただし水餃子はしょうゆ味のスープの中に浸かっていたので評価が分かれるところ)。

千代田区内幸町2-2-3 日比谷国際ビルヂングB2F 電話3519-7601

山手線沿いで言うと、目黒、五反田駅前あたりではこれまでのところマル黄ばかり。ニューカマーのチャイニーズがやってそうな店に入ってもマル黄なのでがっかりです。咸亨酒店の小姐もそうでしたが、非北方人にとってマル黄は別に不思議ではないようです。


大連アカシア西新宿店 (2002/02/26投稿)

西新宿は中国遼菜府新宿店のお隣、大連アカシア(槐花)に行って来ました。麺は「細い、やや(ほんとにちょっとだけ)黄色っぽいが、かといって中華めんではなさそう」で、水で冷たくしてあります。上にかかる炸醤は肉、ネギ、その他の野菜をみじん切りにして、味噌とよく炒めたもので、新宿・霞舫2号店と同じタイプです(片栗粉っ気はなし)。昼時、750円でスープと小チャーハン、ザーサイがつきました。

夜は海鮮のほか、メニューには載せていないが酸菜(白菜の漬け物だそう)の火鍋が名物だそうです。

新宿区西新宿4−30−9 シェモア新宿 1F 電話03-3374-0268


赤坂・東京飯店 (2002/03/09投稿 2002/04/29修正)

堂々と韓国式中華料理を謳う店です。電話には「ヨボセヨ〜」と韓国語で答え、バイクで出前していました。カクテギとザーサイがつきました。言うまでもなくソースは黒、麺は生成り(機械麺)。玉葱をよく炒めた結果、焦げたり、小さくなったりしていました。

味はまああんなものでしょうが、赤坂の韓国式であれば礼林の方がよろしいでしょう。

東京飯店の場所はこの地図のMr. Chin's Diningと同じビルの1F。ちなみにMr. Chin's Diningは刀削麺を出す店で、担担麺などうまいですが、炸醤麺がなかったのが残念でした。


南麻布・三代目丸久 (2002/03/10投稿 2002/04/29修正)

02年2月開店。「うどん専門店・饂飩居酒屋」を名乗っています。インテリア・ロゴ・メニューなどから三軒茶屋の酒肴麺力家と何らかの関係があるものと推定されます。

全国の名物うどんを出すというコンセプトになっており、「水戸納豆とろろ」「祇園かき揚げざる」「生駒大判けつねうどん」などの中に「盛岡じゃじゃ麺」780円がありました(三軒茶屋の方は世界の麺料理を出すというコンセプトで、日本代表の一つが「盛岡じゃじゃ麺」)。

麺はかためのうどんで、上には味噌(ニンニク入り)、ネギ、もやしなどが載っており、混ぜ混ぜして食べます。おっと味噌の回りには錦糸卵が散らされているという「工夫」が。味は三軒茶屋とほぼ同様でした。

ただし南麻布ではチータンタン(鶏蛋湯)が出てきませんでした。じゃじゃ麺はやはりチータンタンでしめた方が満足度が高いので、チータンタンの出る三軒茶屋がよりおすすめです。

港区南麻布2-7-25(白金高輪駅から桜田通りを麻布十番駅方向に約500メートル行ったあたりの右側。古川橋バス停そば) 03-5444-4671


西安刀削麺 代官山店 (2002/03/11投稿 2002/04/29修正)

白い麺空白地帯の一つであった代官山に「西安刀削麺」ができました。喜び勇んでいったものの、メニューに炸醤麺がありません。「あっ、うちではやってないんです」とのこと。店によってポリシーが異なるようです。「スペアリブのせ刀削麺」と言うのは肉も塩味のスープもけっこう脂っこくてもたれる感じでした。「玉子とトマトスープ」に刀削麺が入ったヤツはけっこうあっさりしてますので、こちらの方がおすすめですね。

住所:東京都渋谷区猿楽町11−1ラ・フェンテ代官山B1F 03-5728-2941

(追記)「西安刀削麺」を経営する大秦のサイトこのページにもあるとおり、西安でも炸醤麺は一般的なようです。それであればなおさら、どの系列店でもいつでも出していただければうれしいです。六本木店での炸醤麺体験記はこちら、刀削麺荘訪問記はこちらにあります。


渋谷・北の食房 胡同(フウトン) (2002/03/30投稿 2002/04/29修正)

「中国北東部地方家常菜」をうたう店です。しかし炸醤麺は、上に乗ってる炸醤は黄醤に野菜たっぷりの本格派ながら、麺は日式ラーメンめん(中華めん)でした。「味は美味しいのに残念だ」と伝えたところ「前は白い手打ち麺やってたんですけど、日本のお客さんわからない。あまり売れなかったのでやめました。でも味は白い麺が美味しいですよね。予約してくれればやりますよ」とのお返事でした。

で、別の日に出直すことに。事前に電話で、1人当たり3000円のお任せコースで、最後に炸醤麺を出してくれるようお願いしました。さて当日、コースの最後にお待ちかねの手打ち麺が。中細でちょっと縮れてます。色はもちろん白。別に炸醤の器とネギ、レタスなどが乗った小皿が。それらを手打ち麺に投げ込み、勢いよくかき回していただきます。炸醤はあっさりしたタイプ(片栗っけがないタイプ)。「好吃!」でした。店の人たちも「いい仕事ができて俺たちもうれしいぜ!」という満足げな表情でした。

コースでなくても、手打ち北京式炸醤麺の予約を歓迎します、とのことです。昼の2時か3時に予約すれば、当日夜に出してくれるそうです。カウンターもあるし、一人でもOKです。ただし昼食時は定食のみで炸醤麺はありません。

渋谷区宇田川町33-12 J+RビルサイドR B1 03-3462-0202

ジミーさんの「渋谷・胡同」訪問記(写真付き)はこちら

(追記)上に載せられた野菜(菜碼児)は、きゅうり、レタス、セロリ、もやし、きゃべつなどでした(2002/04/07投稿、2002/06/13修正)。


六本木・龍坊(ロンファン)(2002/04/03投稿 2002/04/29修正)

別冊家庭画報の『一流シェフが手ほどきする人気のチャイニーズ』(1998年7月)で自分の家の炸醤麺を再現し「かん水の入った麺は炸醤麺には合いません」と堂々と宣言した天才・孫成順師傅の店です。

まずは事前打ち合わせに。メニューを見せてもらうが、麺は「伊府麺」などだけで、炸醤麺はなし。お任せは一人当たり7,000円からとのこと。炸醤麺を入れてくれるよう頼むと共に北方式、白い手打ち麺でと念を押す。不在の師傅に電話で確認の上「できます」ということに。

さて当日。ガラス越し、厨房の中では、恰幅の良い師傅が踊るがごとくフライパンを振ってるのが見えます。料理は少量ずつ、幾皿も幾皿も出てきます。ほとんどが繊細で上品な味わいです。

そして最後に小ぶりの鉢に太めのそうめんほどの白い麺が! 野菜や空豆などを載せた小皿も次々と。炸醤は5ミリ角の肉少々がまじって熱を少し通した茶色いものでした。さらにうれしいことに麺湯も! 時間がたつと麺同士がくっつくので、そのときに麺湯を少量注ぎ足しながら食べるといいそうです。

デザートも済み、席を立とうとしたそのとき師傅が見送りに出てきました。「ほんものの麺を頼んでくれた日本人は珍しい。こちらもうれしかったですよ。また北京式の炸醤麺が食べたくなったらいつでも来て下さい」と言いながら手を差し出してきました。謝謝孫成順師傅、再見!

港区六本木7−8−2アルカサール八木ビルB1F 03-5785-3089


ここまで読んで下さり、どうもありがとうございました。サイトの一角をお貸し下さっている家主荒川さんにも感謝します。(翁)

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geminizz@hamakko.or.jp

荒川文治(あらかわ ふみはる)
神奈川県横浜市

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