著作権の保護期間

音楽の楽曲には著作権があるにもかかわらず、色々な場面でクラシックの名曲が演奏されていたり、カバーCDが発売されていたりすることに疑問を持つ人も多いでしょう。著作権には保護期間というものが設けられており、その作品の著作者が死亡してから50年後までが原則として著作権の保護期間と定められています。つまり何百年も前に活躍した作曲家達の著作権は、保護期間が終了しているということになるのです。
そのため、その作曲家の著作権は既に失効しています。ただし、無名の著作物などは著作者が死亡した日付を特定することが出来ないため、公表後50年と定められています。
しかし、著作物に対する権利が発生するのは作曲家だけではないという点に注意しなければなりません。著作権はその作品を作った作曲家にありますが、その作品を演奏したCDなどの場合には演奏家の権利が発生します。またCDなどとして発売される際には、その商業用レコードを製作した人にも権利が発生しています。
そして、演奏家やレコードの製作者が持っている権利の保護期間も、死後50年と定められています。例えばベートーベンは死後50年以上が経過していますので著作権の保護期間は終了しています。そのため誰でも自由にベートーベンの作曲した楽曲を演奏、利用することができます。
ただし、ベートーベンの作曲した楽曲を現在生きている演奏家が演奏しているCDを利用する場合は、演奏家やレコード製作者の権利について保護期間中となります。そのためそのCDに録音されている楽曲を商用音源などとして勝手に利用することはできません。
この点には非常に注意が必要で、昔の作曲家の楽曲なら何でも勝手に利用できる訳ではないのです。商用音源にはクラシック音楽が多く見られますが、これは配信する楽曲の作曲家に対する著作権料が発生しないためでしょう。しかし、その楽曲を誰かが演奏し、配信用の音源として製作している以上は演奏家や製作者の権利を無視して商用音源などとして利用できないことを覚えておきましょう。作曲家が持っている著作権の保護期間が終了していたとしても、現在市販されている録音物のほとんどが演奏家や製作者の権利物だということを忘れてはいけません。